猫にとって玉ねぎは危険な食べ物であることはご存じでしょうか?
人間にとって玉ねぎは血液をサラサラにしてくれる健康的な食べ物と認識している方が多いと思いますが、猫にとっては有害な食べ物なのです。
本記事では、猫にとって玉ねぎがなぜ危険なのかという原因から、誤食したときの対処法、予防のための生活環境の工夫、さらには猫に安心して与えられるおすすめの食べ物まで、初めての方にもわかりやすく丁寧に解説します。
大切な猫の命を守るために、正しい知識を身につけておきましょう。
- 猫に玉ねぎが危険な理由と中毒の仕組み
- 玉ねぎ中毒の症状とその現れ方
- 誤食した場合の正しい対処法
- 玉ねぎを避けるための予防策と安全な食べ物
猫に玉ねぎを与えるのは絶対ダメ

猫に玉ねぎを与えるのは、少量であっても絶対に避けるべきです。なぜなら、玉ねぎに含まれる成分が、猫の体にとって非常に危険だからです。DVM360という海外メディアの記事でも、猫は犬よりも玉ねぎ毒に敏感で、比較的少量の摂取でも中毒症状が出ることが示されております。
なぜ猫にとって玉ねぎが危険なのか
玉ねぎには「有機チオ硫酸化合物」という成分が含まれています。この成分は、猫の血液の中にある赤血球を壊す性質があります。赤血球が壊れると、体に酸素を運べなくなり、いわゆる「貧血」の状態になります。さらに進行すると、呼吸が苦しくなったり、命に関わることもあるのです。
玉ねぎは加熱しても安全にはならない
中には「加熱すれば大丈夫なのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、玉ねぎに含まれる猫にとっての有害な成分は、加熱や乾燥ではなくなりません。カレーやハンバーグ、スープなどに使われた玉ねぎも、猫にとっては危険です。また、エキスが溶け込んだ煮汁やスープだけでも中毒を起こすことがあります。
猫にとっては玉ねぎは舐めただけでも危ないことがある
猫は体が小さく、ほんのひとかけらの玉ねぎや、匂いが手についただけの状態でも、体調に影響を受けてしまうことがあります。特に、猫は犬よりもこの有害成分に敏感だとされており、少量でも危険性が高いのです。
玉ねぎは猫の命を守るために絶対に避けたい食品
人間にとっては健康に良い食材でも、猫にとっては毒になることがあります。玉ねぎはその代表例のひとつです。誤って食べてしまうことのないよう、キッチンでの調理中や食事中も注意が必要です。猫が近づけないようにする環境づくりも大切です。
猫の玉ねぎ中毒の症状

猫が玉ねぎを食べてしまうと、体の中で赤血球が壊れてしまうため、さまざまな中毒症状が現れます。症状はすぐに出るとは限らず、半日から数日たってから現れることもあります。そのため、見逃さないよう注意深く観察することが大切です。
初期に見られる体調の変化
玉ねぎを食べた猫は、まず普段と違う行動や体調の変化が現れることがあります。以下のような初期症状が見られる場合は要注意です。
- 元気がなくなる
- 食欲がなくなる
- 嘔吐する
- 下痢をする
- 体がだるそうに見える
これらの症状だけでは玉ねぎ中毒とは断定できませんが、「何かおかしい」と感じたときには、玉ねぎを誤って口にしていないか思い返してみてください。少しでもおかしいと感じた場合は、猫を動物病院に連れていくことをお勧めします。
進行すると現れる深刻な症状
中毒が進むと、猫の体にとってさらに危険な症状が出てきます。これは赤血球が壊れてしまったことによるもので、すぐに動物病院での対応が必要な状態です。
- 口の中やまぶたの裏の粘膜が白っぽくなる(貧血のサイン)
- 尿が赤色や茶色になる(血が混ざっている可能性)
- 呼吸が早くなる
- 心拍が速くなる
- 黄疸(体の一部が黄色っぽくなる)
- 歩き方がふらつく
このような症状が出ている場合は、命に関わることもあります。できるだけ早く動物病院で診察を受けましょう。
症状の出方には個体差がある
すべての猫に同じ症状が出るわけではありません。同じ量の玉ねぎを食べても、何も症状が出ない猫もいれば、ごく少量でも深刻な状態になる猫もいます。これには体の大きさや年齢、体質が関係しています。
いずれにせよ、猫にとって玉ねぎは有害なので、猫が玉ねぎを少しでも食べた場合は、症状が出ていなかったとしても動物病院で診てもらいましょう。
猫が玉ねぎを食べさせないための予防法

猫が玉ねぎを誤って食べてしまうのは、多くの場合、飼い主が気づかないうちに「口に入る環境」ができてしまっていることが原因です。ここでは、猫が玉ねぎを食べないようにするための具体的な予防策をご紹介します。
キッチンに入れないようにする
玉ねぎは調理中にカットしたり炒めたりする機会が多いため、猫が近づくと誤って舐めたり、落ちたかけらを食べてしまう危険があります。
このため、調理中は猫をキッチンに入れないようにするのが理想的です。ベビーゲートやペット用のフェンスを設置すると安全性が高まります。
食材は扉付きの棚や冷蔵庫に保管する
玉ねぎは常温保存する家庭も多いですが、猫が簡単に登れるキッチンカウンターや棚に置いておくのは危険です。
猫は高い場所にもジャンプして登れるため、扉付きの棚にしまう、または冷蔵庫の野菜室に保管するようにしましょう。
我が家も玉ねぎは基本外に出さず、猫が触れない場所に保管するようにしております。
落とした食材はすぐに片付ける
調理中に玉ねぎの皮やかけらを床に落としてしまうことはよくあります。猫が拾い食いをする前に、すぐに拾って処分することが重要です。
また、スープや煮汁が飛び散っていた場合も、すぐに拭き取ってください。
食事中や食後のテーブルにも注意を
人間の食事にも玉ねぎが含まれていることは多くあります。ハンバーグ、カレー、味噌汁など、見た目にわからなくても玉ねぎが使われている料理は多いです。
食べ残しを放置せず、猫がテーブルや台所に上がらないようしつけておきましょう。
ごみ箱のフタは必ず閉める
猫は好奇心が強く、ごみ箱を漁ることがあります。調理後の玉ねぎの皮や料理の残りなどがごみ箱に入っていると、それを口にしてしまう可能性があります。ごみ箱はフタ付きのものを使用し、しっかり閉めておきましょう。
もし猫が玉ねぎを食べてしまった場合の対処法

猫が玉ねぎを食べてしまった場合、最も大切なのは「様子を見る」のではなく、すぐに対応することです。たとえ少量でも、猫にとっては命にかかわる可能性があります。ここでは、誤食に気づいたときの具体的な対処法を順を追って解説します。
すぐに動物病院に連絡する
猫が玉ねぎを食べてしまったと気づいたら、すぐにかかりつけの動物病院に電話しましょう。
このときに伝えるべきことは以下の3点です。
- いつ(何時ごろ)食べたか
- どのような形の玉ねぎだったか(生、加熱済み、料理の一部など)
- 食べたと思われる量(目安でかまいません)
正確な情報を伝えることで、獣医師も適切な判断がしやすくなります。
自宅で無理に吐かせようとしない
猫の体を思って、すぐに吐かせようと考える方もいるかもしれませんが、自己判断で催吐処置をするのは非常に危険です。
塩を飲ませたり、口の奥を無理に刺激したりすると、猫の体に大きな負担がかかるうえ、場合によってはさらに体調を悪化させることもあります。
病院ではどのような処置が行われるのか
猫が玉ねぎを食べてからすぐに病院へ行けた場合、胃に残っている玉ねぎを吐かせる処置(催吐処置)や、胃洗浄、活性炭の投与が行われることがあります。これにより、体に吸収される前に有害な成分を体外に出すことができます。
すでに時間がたっている場合や、症状が出始めているときには、以下のような治療が行われます。
- 輸液(点滴)で体の負担を減らす
- 貧血が進んでいれば輸血をする
- 吸収された毒を早く出すための薬を使う
いずれも、早めに対応することで重症化を防げる可能性が高くなります。
嘔吐物や便は保管して持っていくと安心
もし嘔吐や下痢があった場合、その内容物をビニール袋に入れて動物病院へ持参すると診断の助けになります。
食べたものの一部や、血の混じった便などが見られた場合、早期に状態を把握する重要な手がかりになるためです。
夜間や休日でも受診できる病院を調べておく
突然の誤食は、平日の日中とは限りません。あらかじめ夜間や休日でも診てもらえる動物病院を調べておくことで、いざというときにすぐ行動できます。
スマートフォンに電話番号を登録しておくと、慌てず対応できます。
猫にとって玉ねぎ以外の危険な食べ物
猫にとって玉ねぎは危険な食べ物の代表ですが、実はほかにも注意すべき食材が数多く存在します。ここでは、玉ねぎ以外に猫が食べると危険な食品をジャンルごとに紹介します。日常生活の中に潜んでいるリスクを知ることで、猫の健康を守ることができます。
ネギ類全般(にんにく・長ねぎ・にら・らっきょう)

玉ねぎと同じ「ネギの仲間」である以下の食材も、猫にとっては同じように有害です。
- にんにく
- 長ねぎ
- にら
- らっきょう
- わけぎ
これらには玉ねぎと同じ成分(有機チオ硫酸化合物やアリルプロピルジスルフィドなど)が含まれており、赤血球を壊す働きがあります。加熱しても無害にはならないため、どんな形でも与えてはいけません。
アボカド

アボカドには「ペルシン」という成分が含まれており、猫にとっては中毒を引き起こす可能性があります。少量でも消化器の不調や呼吸異常が起こることがあるため注意が必要です。
チョコレート・カフェイン・アルコール

甘いチョコレートや飲み物にも危険は潜んでいます。
- チョコレート:テオブロミンという成分が中毒を引き起こし、興奮、嘔吐、けいれんなどを招くことがあります。
- コーヒーやお茶:カフェインは心臓や神経に悪影響を与えます。
- アルコール:少量でも呼吸困難や意識障害を起こすため絶対にNGです。
ブドウ・レーズン

ブドウやレーズンは腎臓に強いダメージを与えることがあり、ごく少量でも腎不全を引き起こす可能性があるとされています。お菓子やパンに含まれていることもあるため注意しましょう。
生肉・生魚・貝類

生肉や魚介類にも注意が必要です。
- 生肉:食中毒の原因となる細菌が含まれていることがあります。
- 生のイカやタコ:猫が必要とするビタミンB1を壊す酵素を含んでおり、B1欠乏症を引き起こすことがあります。
- 生の貝類:体調不良や光過敏症の原因になることがあります。
キシリトール・ナッツ類

- キシリトール:人間用のガムやお菓子に含まれる甘味料ですが、猫が摂取すると低血糖を起こす恐れがあります。
- マカダミアナッツなどのナッツ類:原因ははっきりしていませんが、嘔吐や体のふらつきが報告されています。
見落としがちな「人間の食べ物」
猫が興味を示す人間の食べ物には、危険な成分が隠れていることがあります。
特に、加工食品や調味料(ソース、ドレッシング、缶詰など)には、ネギ類やキシリトールが含まれている場合があります。基本的には人間の食べ物は猫に与えないようにしましょう。
猫にとっておすすめの食べ物
猫の健康を守るためには、何を「与えないか」と同じくらい、「何を与えるか」も大切です。ここでは、猫の体にとって安全で、栄養面でもおすすめできる食べ物についてご紹介します。初めて猫を飼う方でも安心して与えられるよう、具体的な種類やポイントもわかりやすく解説します。
基本は総合栄養食のキャットフード
結論から言えば、猫にとって最もおすすめなのは「総合栄養食」と表示されたキャットフードです。これは猫の健康維持に必要な栄養素がバランスよく含まれており、水と一緒に与えるだけで十分に栄養を摂れるよう設計されています。
またキャットフードの中でも無添加で着色があまりついていないフードを選ぶとよいでしょう。キャットフードでも着色料がかなりついていたり、添加物がたくさん入っている場合があるので、キャットフードを購入する前には、必ずどんな内容かをパッケージを確認するようにしましょう。
キャットフードの中には、ドライタイプ(カリカリ)とウェットタイプ(缶詰やパウチ)の2種類がありますが、それぞれにメリットがあります。
- ドライタイプ:歯ごたえがあり、歯石がつきにくい。保存が効きやすくコストも控えめ。
- ウェットタイプ:水分量が多いため、水分補給が苦手な猫に向いています。
どちらか一方でも大丈夫ですが、両方を組み合わせて与えるとよりバランスが取れます。
食べ物は猫の健康状態によって、変えた方がよい
基本的に猫にとってはキャットフードが健康的でよい食べ物ですが、病気の猫にとっては動物病院がオススメする食べ物に変えるなど、猫の状態に合わせた食べ物を与えることが大切です。
ご褒美には猫用おやつを少量だけ
おやつは主食ではありませんが、しつけやご褒美の際に少量与えるのは問題ありません。ただし、人間用の食品ではなく、必ず「猫用」に作られたものを選びましょう。
与える頻度や量は、パッケージに記載された目安を守ってください。おやつの与えすぎは肥満や栄養バランスの崩れにつながります。
また猫用と記載されているおやつであっても油断は禁物です。猫用おやつであっても着色料がかなりつけられていたり、添加物がたくさん入っていたりする場合もあるので、キャットフードと同様に猫用のおやつであってもパッケージを確認するようにしましょう。
水も大切な栄養のひとつ
猫はもともとあまり水を飲まない性質がありますが、水分不足は腎臓に負担をかけてしまいます。常に新鮮な水を用意し、できれば複数の場所に水皿を置くことで自然と飲む回数を増やせます。
ウェットフードを混ぜることも、水分補給の補助になります。
猫に玉ねぎはダメ!についてまとめ
本記事は以上です。いかがでしたでしょうか?
猫にとって玉ねぎは非常に危険な食べ物であり、避けるべき食べ物であることをご理解いただけたかと思います。
玉ねぎは与えず、もし誤って少しでも猫が玉ねぎを食べてしまった場合はすぐに動物病院に行きましょう。
正しい知識を身につけることは愛猫の命を守ることに繋がります。ぜひこれからも一緒に猫の正しい知識を身につけていきましょう。